投稿日 : 2017年8月27日 最終更新日時 : 2017年9月7日 カテゴリー : 不動産の相続登記(土地・建物の名義変更), 登記申請書
❖ 原本還付とは
登記申請書に添付する書面は、原則として、原本を提出しなければなりません。
しかし、一部の書類を除いては、登記申請の際に原本還付請求の手続きをすることにより、登記完了後に希望する書面の原本を返してもらうことができます。
1 書面申請をした申請人は、申請書の添付書面(磁気ディスクを除く。)の原本の還付を請求することができる。
ただし、令第十六条第二項 、第十八条第二項若しくは第十九条第二項又はこの省令第四十八条第一項第三号 (第五十条第二項において準用する場合を含む。)若しくは第四十九条第二項第三号 の印鑑に関する証明書及び当該申請のためにのみ作成された委任状その他の書面については、この限りでない。
❖ 原本還付のメリット
◎ 重要書類の原本保存
契約書や遺産分割協議書、承諾書など、権利の得喪に関する重要な証拠資料となる書類を、登記に使用後も、当事者の手元に残しておくことができます。
◎ コスト削減
住民票の写し、戸籍全部事項証明書などの各種証明書については、還付を受けて他の手続き等に再使用することも可能で、証明書取得の手間や経費の削減に繋がります。
❖原本還付請求の方法
◎ 原則
■ 登記完了後に原本の返却を希望する書面については、登記申請書に原本をつけずに、替わりにそのコピーを合綴し、コピーの余白に「右は原本に相違ありません」と記入して、申請人(申請代理人)が記名・押印します。
・法務局に「右は原本に相違ありません」のゴム印が備え付けられていますので、利用すれば便利です。
■ 還付を希望する書面の原本は、クリアファイルなどに一まとめにして、登記申請書と一緒に申請窓口に提出します。
・なお、大阪法務局では、地下売店のコピーサービスを利用できますが、他の法務局では、現在コピー機が設置がされていませんのでご注意下さい。
◎ 住民票の写しを原本還付する場合
2 前項本文の規定により原本の還付を請求する申請人は、原本と相違ない旨を記載した謄本【=コピー】を提出しなければならない。
3 登記官は、第一項本文の規定による請求があった場合には、調査完了後、当該請求に係る書面の原本を還付しなければならない。 この場合には、前項の謄本と当該請求に係る書面の原本を照合し、これらの内容が同一であることを確認した上、同項の謄本に原本還付の旨を記載し、これに登記官印を押印しなければならない。
◎ コピーが2枚以上ある場合
一番前のページでも、一番後ろのページでも、裏面でも構いませんので、余白に「右は原本に相違ありません」と記載をして、申請(代理)人印で各ページを割印します。
割印でつながったコピーの綴りのうち、どこか1箇所に「右は原本に相違ありません」の記載があれば結構です。
◎ 相続登記に添付する戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)の原本還付の場合
相続登記に添付する戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)・改製原戸籍謄本・除籍謄本を原本還付する場合、全てのページをコピーしても結構ですが、一般的に戸籍謄本の枚数は何十ページにも渡り、コピーするのが大変です。
そこで「相続関係説明図」という、戸籍の記載から証明できる相続関係を図式化した書類を作成して提出すれば、全ページのコピーを提出しなくても、原本還付が可能とされています。
第一 法の施行に伴う登記事務の取扱い
七 原本還付の取扱い
相続による権利の移転の登記等における添付書面の原本の還付を請求する場合において、いわゆる相続関係説明図が提出されたときは、登記原因証明情報のうち、戸籍謄本又は抄本及び除籍謄本に限り、当該相続関係説明図をこれらの書面の謄本として取り扱って差し支えない。
平成17年3月7日に施行された不動産登記法の改正(平成16年6月13日法律第69号)前は、戸籍だけでなく、遺産分割協議書・印鑑証明書・住所証明書(住民票の写し・戸籍の附票等)も、相続関係説明図を提出することにより、原本還付することができましたが、改正後の通達により、戸籍のみの還付に限定されました。