分譲マンションは、不動産登記法上「区分建物」とよばれ、一戸建ての普通建物とは、登記事項証明書の表題部の様式が大きく異なります。

ここでは、分譲マンションでよく見られる上記の表題部のような敷地権のある区分建物について解説いたします。

賃貸マンションなどは、全体が一戸の共同住宅として登記されていることが多いです。

①証明書の種類

建物の登記事項証明書の右上①部分には、登記事項証明書の種類が記載されます。

不動産の登記事項証明書には「全部事項証明書」「現在事項証明書」「一部事項証明書」「閉鎖事項証明書」があります。

「表題部」の記載事項については違いがありませんが、「甲区」と「乙区」については、それぞれの証明書の種類により記載される「登記記録の内容」が違います。

記載事項の比較表

詳しくは、☞ 【Q&A】不動産の全部事項証明書、現在事項証明書、一部事項証明書、閉鎖事項証明書はどう違うのですか?をご覧ください。

②不動産の種類

不動産には、土地と建物がありますので、その種類が表示されています。

不動産登記法 第二条(定義)

この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一  不動産 土地又は建物をいう。
二  不動産の表示 不動産についての第二十七条第一号、第三号若しくは第四号、第三十四条第一項各号、第四十三条第一項、第四十四条第一項各号又は第五十八条第一項各号に規定する登記事項をいう。

③ 専有部分の家屋番号

マンションは、独立して区分所有できる「専有部分」という一部屋ずつが集まった「一棟の建物」です。

「③専有部分の家屋番号」欄には、一棟の建物内にある全ての専有部分の家屋番号が記載されています。

不動産登記法 第二条(定義)

この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

二十二  区分建物 一棟の建物の構造上区分された部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものであって、建物の区分所有等に関する法律 (昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第三項 に規定する専有部分であるもの(区分所有法第四条第二項 の規定により共用部分とされたものを含む。)をいう。

④所在

④所在欄には、建物の所在する「市、区、郡、町、村、字及び土地の地番」が記載されます。

不動産登記法 第四十四条(建物の表示に関する登記の登記事項)

1  建物の表示に関する登記の登記事項は、第二十七条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
一  建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番(区分建物である建物にあっては、当該建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番)
二  家屋番号
三  建物の種類、構造及び床面積

「○丁目」も不動産の所在の一部に含まれるため、アラビア数字(1丁目)ではなく、漢数字(一丁目)で表記されます。

「番」ではなく「番地」と表記されます。

不動産登記事務取扱手続準則 第88条(建物の所在の記録方法)

1 建物の登記記録の表題部に不動産所在事項を記録する場合において,当該建物が他の都道府県にまたがって存在するときは,不動産所在事項に当該他の都道府県名を冠記するものとする。
2 建物の登記記録の表題部に2筆以上の土地にまたがる建物の不動産所在事項を記録する場合には,床面積の多い部分又は主たる建物の所在する土地の地番を先に記録し,他の土地の地番は後に記録するものとする。
3 前項の場合において,建物の所在する土地の地番を記録するには,「6番地,4番地,8番地」のように記録するものとし,「6,4,8番地」のように略記してはならない。 ただし,建物の所在する土地の地番のうちに連続する地番(ただし,支号のあるものを除く。)がある場合には,その連続する地番を,例えば,「5番地ないし7番地」のように略記して差し支えない。
4 建物が永久的な施設としてのさん橋の上に存する場合又は固定した浮船を利用したものである場合については,その建物から最も近い土地の地番を用い,「何番地先」のように記録するものとする。

⑤建物の名称

「建物の名称」がある場合は、登記記録として記載されます。

「一棟の建物」についての「建物の名称」は、マンション全体の名前です。

登記申請書や遺産分割協議書などに区分建物の表示をする場合、「一棟の建物」の「建物の名称」を記載すれば、「一棟の建物」の「構造」と「床面積」の記載は省略できます。

不動産登記令 第三条(申請情報)

登記の申請をする場合に登記所に提供しなければならない法第十八条 の申請情報の内容は、次に掲げる事項とする。

八  建物の表示に関する登記又は建物についての権利に関する登記を申請するときは、次に掲げる事項

イ 建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番(区分建物である建物にあっては、当該建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番)
ロ 家屋番号(建物の表題登記(合体による登記等における合体後の建物についての表題登記を含む。)を申請する場合、法第七十四条第一項第二号 又は第三号 に掲げる者が表題登記がない建物について所有権の保存の登記を申請する場合及び表題登記がない建物について所有権の処分の制限の登記を嘱託する場合を除く。)
ハ 建物の種類、構造及び床面積
ニ 建物の名称があるときは、その名称
ホ 附属建物があるときは、その所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番(区分建物である附属建物にあっては、当該附属建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番)並びに種類、構造及び床面積
ヘ 建物又は附属建物が区分建物であるときは、当該建物又は附属建物が属する一棟の建物の構造及び床面積(トに掲げる事項【=「一棟の建物」の「建物の名称」】を申請情報の内容とする場合(ロに規定する場合を除く。)を除く。)
ト 建物又は附属建物が区分建物である場合であって、当該建物又は附属建物が属する一棟の建物の名称があるときは、その名称

⑥建物の構造

不動産登記法の規定により「構成材料」「屋根の種類」「階数」に区分して、建物の構造は認定されます。

建物の構造は、その区分方法により下記のように分類されています。

不動産登記規則 第百十四条(建物の構造)

建物の構造は、建物の主な部分の構成材料、屋根の種類及び階数により、次のように区分して定め、これらの区分に該当しない建物については、これに準じて定めるものとする。
一  構成材料による区分

イ 木造
ロ 土蔵造
ハ 石造
ニ れんが造
ホ コンクリートブロック造
ヘ 鉄骨造
ト 鉄筋コンクリート造
チ 鉄骨鉄筋コンクリート造

二  屋根の種類による区分

イ かわらぶき
ロ スレートぶき
ハ 亜鉛メッキ鋼板ぶき
ニ 草ぶき
ホ 陸屋根

三  階数による区分

イ 平家建
ロ 二階建(三階建以上の建物にあっては、これに準ずるものとする。)
不動産登記事務取扱手続準則 第81条(建物の構造の定め方等)

1 建物の構造は,規則第114条に定めるところによるほか,おおむね次のように区分して定めるものとする。
一 構成材料による区分

ア 木骨石造
イ 木骨れんが造
ウ 軽量鉄骨造

二 屋根の種類による区分

ア セメントかわらぶき
イ アルミニューム板ぶき
ウ 板ぶき
エ 杉皮ぶき
オ 石板ぶき
カ 銅板ぶき
キ ルーフィングぶき
ク ビニール板ぶき
ケ 合金メッキ鋼板ぶき

三 階数による区分

ア 地下何階建
イ 地下何階付き平家建(又は何階建)
ウ ガード下にある建物については,ガード下平家建(又は何階建)
エ 渡廊下付きの1棟の建物については,渡廊下付き平家建(又は何階建)

2 建物の主たる部分の構成材料が異なる場合には,例えば「木・鉄骨造」と,屋根の種類が異なる場合には,例えば「かわら・亜鉛メッキ鋼板ぶき」と表示するものとする。
3 建物を階層的に区分してその一部を1個の建物とする場合において,建物の構造を記載するときは,屋根の種類を記載することを要しない。
4 天井の高さ1.5メートル未満の地階及び屋階等(特殊階)は,階数に算入しないものとする。

⑦床面積

各階数ごとに、建物の床面積が登記されます。

少数点以下2桁まで、表記されます。

専有部分の床面積には「○階部分」と記載されます。

専有部分は内法(うちのり)面積で表記されます。これに対して「一棟の建物全体」と「普通建物」は壁芯(かべしん)面積で計測します。

専有部分の内法(うちのり)面積は、壁の厚さ等を考慮せず、壁の内側の線で囲まれた部分の面積です。

壁芯面積とは、壁の中心線を想定し、その中心線で囲まれた部分を計算して求められた面積です。したがって内法面積は壁芯面積より狭くなります。

不動産登記規則 第百十五条(建物の床面積)

建物の床面積は、各階ごとに壁その他の区画の中心線区分建物にあっては、壁その他の区画の内側線)で囲まれた部分の水平投影面積により、平方メートルを単位として定め、一平方メートルの百分の一未満の端数は、切り捨てるものとする。

不動産登記において床面積に算入する計算方法は、建築確認申請や固定資産税評価などの場合とは異なるため、同じ建物の表示床面積が、それぞれの書類で違うことがあります。

天井の高さ1.5メートル未満の地階及び屋階(特殊階)は,不動産登記における床面積に算入しません。

不動産登記事務取扱手続準則 第82条(建物の床面積の定め方)
建物の床面積は,規則第115条に定めるところによるほか,次に掲げるところにより定めるものとする。
一 天井の高さ1.5メートル未満の地階及び屋階(特殊階)は,床面積に算入しない。
ただし,1室の一部が天井の高さ1.5メートル未満であっても,その部分は,当該1室の面積に算入する。

⑧土地の符号

「土地の符号」欄には、敷地権となっている土地に振られた番号が記載されます。

敷地権とは、区分建物の専有部分と一体となっている土地の持分のことです。

敷地権の正確な定義は「当該区分建物について区分所有法第二条第六項 に規定する敷地利用権(登記されたものに限る。)であって、区分所有法第二十二条第一項 本文(同条第三項 において準用する場合を含む。)の規定により区分所有者の有する専有部分と分離して処分することができないもの」という事になります。

「区分建物の専有部分」と「敷地に関する持分権」をバラバラに売却したり、担保設定したりすることはできない(=分離処分できない)という点がポイントです。

不動産登記法 第四十四条(建物の表示に関する登記の登記事項)

1  建物の表示に関する登記の登記事項は、第二十七条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
一  建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番(区分建物である建物にあっては、当該建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番)
二  家屋番号
三  建物の種類、構造及び床面積
四  建物の名称があるときは、その名称
五  附属建物があるときは、その所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番(区分建物である附属建物にあっては、当該附属建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番)並びに種類、構造及び床面積
六  建物が共用部分又は団地共用部分であるときは、その旨
七  建物又は附属建物が区分建物であるときは、当該建物又は附属建物が属する一棟の建物の構造及び床面積
八  建物又は附属建物が区分建物である場合であって、当該建物又は附属建物が属する一棟の建物の名称があるときは、その名称
九  建物又は附属建物が区分建物である場合において、当該区分建物について区分所有法第二条第六項 に規定する敷地利用権(登記されたものに限る。)であって、区分所有法第二十二条第一項 本文(同条第三項 において準用する場合を含む。)の規定により区分所有者の有する専有部分と分離して処分することができないもの(以下「敷地権」という。)があるときは、その敷地権
2  前項第三号、第五号及び第七号の建物の種類、構造及び床面積に関し必要な事項は、法務省令で定める。

⑨所在及び地番

敷地権となっている土地の所在と地番が記載されます。

所在とは、土地の所在する「市、区、郡、町、村及び字」です。

不動産登記法 第三十四条(土地の表示に関する登記の登記事項)

1  土地の表示に関する登記の登記事項は、第二十七条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
一  土地の所在する市、区、郡、町、村及び字
二  地番
三  地目
四  地積

地番とは、一筆の土地ごとに法務局が付ける番号を言います。

地番は「248(本番)番22(支号)」というように、「本番+支号(枝番とも言います)」の形で特定します(分筆されたことのない土地は本番のみ)。

⑩地目

地目とは、不動産登記法により認定された土地の用途です。

不動産登記準則68条により、下記の地目と用途が規定されています。

区分建物の敷地となっている土地なので、「宅地」であることが多いです。

不動産登記準則 第68条(地目)

次の各号に掲げる地目は,当該各号に定める土地について定めるものとする。
この場合には,土地の現況及び利用目的に重点を置き,部分的にわずかな差異の存するときでも,土地全体としての状況を観察して定めるものとする。

一 田 農耕地で用水を利用して耕作する土地
二 畑 農耕地で用水を利用しないで耕作する土地
三 宅地 建物の敷地及びその維持若しくは効用を果すために必要な土地
四 学校用地 校舎,附属施設の敷地及び運動場
五 鉄道用地 鉄道の駅舎,附属施設及び路線の敷地
六 塩田 海水を引き入れて塩を採取する土地
七 鉱泉地 鉱泉(温泉を含む。)の湧出口及びその維持に必要な土地
八 池沼 かんがい用水でない水の貯留池
九 山林 耕作の方法によらないで竹木の生育する土地
十 牧場 家畜を放牧する土地
十一 原野 耕作の方法によらないで雑草,かん木類の生育する土地
十二 墓地 人の遺体又は遺骨を埋葬する土地
十三 境内地 境内に属する土地であって,宗教法人法(昭和26年法律第126号)第3条第2号及び第3号に掲げる土地(宗教法人の所有に属しないものを含む。)
十四 運河用地 運河法(大正2年法律第16号)第12条第1項第1号又は第2号に掲げる土地
十五 水道用地 専ら給水の目的で敷設する水道の水源地,貯水池,ろ水場又は水道線路に要する土地
十六 用悪水路 かんがい用又は悪水はいせつ用の水路
十七 ため池 耕地かんがい用の用水貯留池
十八 堤 防水のために築造した堤防
十九 井溝 田畝又は村落の間にある通水路
二十 保安林 森林法(昭和26年法律第249号)に基づき農林水産大臣が保安林として指定した土地
二十一 公衆用道路 一般交通の用に供する道路(道路法(昭和27年法律第180号)による道路であるかどうかを問わない。)
二十二 公園 公衆の遊楽のために供する土地
二十三 雑種地 以上のいずれにも該当しない土地

⑪地積

⑪地積とは、登記簿に記載されている土地の面積のことを言います。

その地積が登記された時期や経緯により、精度は大きく異なります。

現在、実測した場合の正確な面積が登記簿に記載されているとは限りません。

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不動産登記法 第三十四条(土地の表示に関する登記の登記事項)

1  土地の表示に関する登記の登記事項は、第二十七条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
一  土地の所在する市、区、郡、町、村及び字
二  地番
三  地目
四  地積

⑫不動産番号

不動産番号とは、不動産の表示の一つとして、不動産を特定するための13桁の数字をいいます。

1つの不動産について、1つの不動産番号が振られていて、重複する番号はありません。

区分建物の場合は、一棟の建物ではなく専有部分ごとに1つの不動産番号が振られます。

コンピュータ化されていない不動産登記簿(いわゆる改製不適合簿)には、不動産番号は振られていません。

不動産登記規則 第一条(定義)

この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

八  不動産番号 第九十条の規定により表題部に記録される番号、記号その他の符号をいう。

⑬家屋番号

家屋番号とは、一個の建物ごとに法務局が付ける番号を言います。

区分建物の場合は、専有部分一戸ごとに1つの不動産番号が振られています。

⑭建物の種類

建物の種類とは、不動産登記法により認定されたその建物の主たる用途を言います。

建物の種類には、下記のようなものが定められています。

居宅、店舗、寄宿舎、共同住宅、事務所、旅館、料理店、工場、倉庫、車庫、発電所、変電所、校舎,講堂,研究所,病院,診療所,集会所,公会堂,停車場,劇場,映画館,遊技場,競技場,野球場,競馬場,公衆浴場,火葬場,守衛所,茶室,温室,蚕室,物置,便所,鶏舎,酪農舎,給油所

建物の主な用途が2種類以上のある場合は、「居宅・店舗」などのように表記されます。

不動産登記規則 第百十三条(建物の種類)

1  建物の種類は、建物の主な用途により、居宅、店舗、寄宿舎、共同住宅、事務所、旅館、料理店、工場、倉庫、車庫、発電所及び変電所に区分して定め、これらの区分に該当しない建物については、これに準じて定めるものとする。
2  建物の主な用途が二以上の場合には、当該二以上の用途により建物の種類を定めるものとする。

不動産登記事務取扱手続準則 第80条(建物の種類の定め方)

1 (不動産登記)規則第113条第1項に規定する建物の種類の区分に該当しない建物の種類は,その用途により,次のように区分して定めるものとし,なお,これにより難い場合には,建物の用途により適当に定めるものとする。
2 校舎,講堂,研究所,病院,診療所,集会所,公会堂,停車場,劇場,映画館,遊技場,競技場,野球場,競馬場,公衆浴場,火葬場,守衛所,茶室,温室,蚕室,物置,便所,鶏舎,酪農舎,給油所
3 建物の主たる用途が2以上の場合には,その種類を例えば「居宅・店舗」と表示するものとする。

⑮原因及びその日付

建物の種類、構造、床面積に変更があった場合に、変更などがあった「原因とその日付」が記載されます。

⑯敷地権の種類

専有部分と一体となっている敷地利用権の種類が記載されます。

敷地権の種類としては「所有権」が一般的ですが、「賃借権」「地上権」などの土地利用権である場合もあります。

⑰敷地権割合

専有部分と一体となっている敷地権の持分割合が記載されます。