登録免許税とは、登記等を受ける者に課せられる国税で、法務局に対し登記申請を行う際に納付する必要があります。

不動産登記の登録免許税の計算方法は、下記のように ①不動産の価額 ②債権額又は極度額 ③不動産の個数 ④担保権の個数を基準とする4種類に分けられます。

不動産登記の登録免許税 一覧

課税標準の下3桁を切り捨てる

課税標準とは、税額計算の基礎となる金額や数量を言います。

課税標準が金額である①不動産の価額 ②債権額又は極度額については、その合計額の1,000円未満を切り捨ててから、税率を掛けます。

税率を掛けた後、下2桁を切り捨てる

課税標準に税率を掛けた後、下2桁を切り捨てます。

国税通則 第百十八条法 (国税の課税標準の端数計算等)

1  国税(印紙税及び附帯税を除く。以下この条において同じ。)の課税標準(その税率の適用上課税標準から控除する金額があるときは、これを控除した金額。以下この条において同じ。)を計算する場合において、その額に千円未満の端数があるとき、又はその全額が千円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てる。

国税通則法 第百十九条 (国税の確定金額の端数計算等)

1  国税(自動車重量税、印紙税及び附帯税を除く。以下この条において同じ。)の確定金額に百円未満の端数があるとき、又はその全額が百円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てる

登録免許税の最低金額は、1,000円

課税標準に税率を掛けた金額が、1,000円未満であった場合は、その登録免許税は1,000円になります。

不動産登記の登録免許税の最低金額は、非課税の場合を除き、1,000円になるという事です。

登録免許税法 第十九条(定率課税の場合の最低税額)

別表第一に掲げる登記又は登録につき同表に掲げる税率を適用して計算した金額が千円に満たない場合には、当該登記又は登録に係る登録免許税の額は、千円とする。

不動産の価額=
登録免許税計算のための課税標準となる「不動産の価額」は、固定資産評価証明書上の「評価額」になります。
登録免許税法 附則 第七条(不動産登記に係る不動産価額の特例)

新法別表第一の第一号に掲げる不動産の登記の場合における新法第十条第一項の課税標準たる不動産の価額は、当分の間、当該登記の申請の日の属する年の前年十二月三十一日現在又は当該申請の日の属する年の一月一日現在において地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第三百四十一条第九号(固定資産税に関する用語の意義)に掲げる固定資産課税台帳に登録された当該不動産の価格を基礎として政令で定める価額によることができる。

この固定資産評価額を証明するために、固定資産評価証明書を添付しなければいけません。

所有権移転(売買) 土地の登録免許税

土地の売買による所有権移転登記の登録免許税の計算式は、下記のようになります。

土地の価額の合計額(下3桁切り捨て)×15/1000=登録免許税(下2桁切り捨て)

売買による所有権移転登記は、登録免許税法の本則では、「その他の原因による移転の登記」として、20/1000です。

登録免許税法 別表第一 一(二)ハ

しかし、土地については租税特別措置法72条1項1号により、15/1000に軽減されています。

租税特別措置法 第七十二条(土地の売買による所有権の移転登記等の税率の軽減)

1  個人又は法人が、平成二十五年四月一日から平成二十九年三月三十一日までの間に、土地に関する登記で次の各号に掲げるものを受ける場合には、当該各号に掲げる登記に係る登録免許税の税率は、登録免許税法第九条 の規定にかかわらず、当該各号に掲げる登記の区分に応じ、当該各号に定める割合とする。

一  売買による所有権の移転の登記 千分の十五
二  所有権の信託の登記 千分の三

所有権移転(売買)建物の登録免許税

建物の売買による所有権移転登記の登録免許税の計算式は、下記のようになります。

【住宅減税がない場合】

建物の価額の合計額(下3桁切り捨て)×20/1000=登録免許税(下2桁切り捨て)

【住宅減税がある場合】

建物の価額の合計額(下3桁切り捨て)×3/1000=登録免許税(下2桁切り捨て)

売買による所有権移転登記は、登録免許税法の本則では、「その他の原因による移転の登記」として、20/1000です。

登録免許税法 別表第一 一(二)ハ

しかし、個人が居住用として住宅を購入する場合に、一定の条件を満たせば、租税特別措置法73条により、3/1000に軽減されます。

租税特別措置法 第七十三条(住宅用家屋の所有権の移転登記の税率の軽減)

個人が、昭和五十九年四月一日から平成二十九年三月三十一日までの間に建築後使用されたことのない住宅用家屋又は建築後使用されたことのある住宅用家屋のうち政令で定めるものの取得(売買その他の政令で定める原因によるものに限る。次条第二項、第七十四条の二第二項及び第七十四条の三第一項において同じ。)をし、当該個人の居住の用に供した場合には、これらの住宅用家屋の所有権の移転の登記に係る登録免許税の税率は、財務省令で定めるところによりこれらの住宅用家屋の取得後一年以内(一年以内に登記ができないことにつき政令で定めるやむを得ない事情がある場合には、政令で定める期間内。次条第二項、第七十四条の二第二項及び第七十五条において同じ。)に登記を受けるものに限り、登録免許税法第九条 の規定にかかわらず、千分の三とする。

所有権保存登記の登録免許税

所有権保存登記の登録免許税の計算式は、下記のようになります。

【住宅減税がない場合】

不動産価額の合計額(下3桁切り捨て)×4/1000=登録免許税(下2桁切り捨て)

【住宅減税がある場合】

不動産価額の合計額(下3桁切り捨て)×1.5/1000=登録免許税(下2桁切り捨て)

所有権保存登記の登録免許税は、登録免許税法本則では4/1000です。

登録免許税法 別表第一 一(一)

しかし、個人の居住用の住宅である場合に、一定の条件を満たせば、租税特別措置法72条の2により、1.5/1000に軽減されます。

租税特別措置法 第七十二条の二(住宅用家屋の所有権の保存登記の税率の軽減)

個人が、昭和五十九年四月一日から平成二十九年三月三十一日までの間に住宅用の家屋で政令で定めるもの(以下第七十五条までにおいて「住宅用家屋」という。)を新築し、又は建築後使用されたことのない住宅用家屋を取得し、当該個人の居住の用に供した場合には、当該住宅用家屋の所有権の保存の登記に係る登録免許税の税率は、財務省令で定めるところにより当該住宅用家屋の新築又は取得後一年以内に登記を受けるものに限り、登録免許税法第九条 の規定にかかわらず、千分の一・五とする。

所有権移転(相続)の登録免許税

相続による所有権移転登記の登録免許税の計算式は、下記のようになります。

不動産の価額の合計額(下3桁切り捨て)×4/1000=登録免許税(下2桁切り捨て)
登録免許税法 別表第一 一(二)イ

相続による所有権移転登記の登録免許税に関しては、居住用の住宅であっても、住宅減税はありません。

所有権移転(贈与)の登録免許税

贈与による所有権移転登記の登録免許税の計算式は、下記のようになります。

不動産の価額の合計額(下3桁切り捨て)×20/1000=登録免許税(下2桁切り捨て)
登録免許税法 別表第一 一(二)イ

贈与による所有権移転登記の登録免許税に関しては、土地や居住用の住宅であっても、減税はありません。

抵当権設定の登録免許税

抵当権設定登記の登録免許税の計算式は、下記のようになります。

【住宅減税がない場合】

債権額(下3桁切り捨て)×4/1000=登録免許税(下2桁切り捨て)

【住宅減税がある場合】

債権額(下3桁切り捨て)×1/1000=登録免許税(下2桁切り捨て)

抵当権設定登記は、登録免許税法の本則では4/1000です。

登録免許税法 別表第一 一(5)

しかし、個人の居住用の住宅である場合に、一定の条件を満たせば、租税特別措置法75条により、1/1000に軽減されます。

租税特別措置法 第七十五条(住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記の税率の軽減)

個人が、昭和五十九年四月一日から平成二十九年三月三十一日までの間に住宅用家屋の新築(当該期間内に家屋につき増築をし、当該増築後の家屋が住宅用家屋に該当する場合における当該増築を含む。以下この条において同じ。)をし、又は建築後使用されたことのない住宅用家屋若しくは建築後使用されたことのある住宅用家屋のうち政令で定めるものの取得をし、当該個人の居住の用に供した場合において、これらの住宅用家屋の新築又は取得(以下この条において「住宅用家屋の新築等」という。)をするための資金の貸付け(貸付けに係る債務の保証を含む。)が行われるとき、又は対価の支払が賦払の方法により行われるときは、その貸付け又はその賦払金に係る債権で次の各号に掲げるものを担保するために当該各号に定める者が受けるこれらの住宅用家屋を目的とする抵当権の設定の登記に係る登録免許税の税率は、財務省令で定めるところにより当該住宅用家屋の新築等後一年以内に登記を受けるものに限り、登録免許税法第九条 の規定にかかわらず、千分の一とする。

一  住宅用家屋の新築等をするための資金の貸付けに係る債権 当該債権に係る貸付けを行つた者
二  住宅用家屋の新築等をするための資金の貸付けに係る債務の保証に基づく求償権 当該債務の保証を行つた者
三  住宅用家屋の新築等をするための対価の支払が賦払の方法により行われる場合における当該賦払金に係る債権 当該賦払の方法により当該対価の支払を受けた者
四  住宅用家屋の新築等をするための資金の貸付けに係る債権で独立行政法人住宅金融支援機構が独立行政法人住宅金融支援機構法 (平成十七年法律第八十二号)第十三条第一項第一号 の業務により金融機関から譲り受けた貸付債権 独立行政法人住宅金融支援機構

根抵当権設定の登録免許税

根抵当権設定登記の登録免許税の計算式は、下記のようになります。

極度額(下3桁切り捨て)×4/1000=登録免許税(下2桁切り捨て)
登録免許税法 別表第一 一(5)


「抵当権」には、「根抵当権」も含まれます。

根抵当権設定登記の登録免許税に関しては、居住用の住宅であっても住宅減税はありません。

根抵当権変更(極度額増額)の登録免許税

根抵当権変更(極度額増額)登記の登録免許税の計算式は、下記のようになります。

【変更前の極度額-変更後の極度額】(下3桁切り捨て)
×4/1000=登録免許税(下2桁切り捨て)
登録免許税法 別表第一 一(5)


「抵当権」には、「根抵当権」も含まれます

登録免許税法上、「極度額増額」は、「設定」登記とみなされます。

増額された部分については、新たな根抵当権設定と同視されるからです。

登録免許税法 第十二条(債権金額等の増額に係る変更の登記の場合の課税標準)

1  先取特権、質権又は抵当権につき工事費用の予算金額、債権金額又は極度金額増加する登記を又は登録は、その増加する部分の工事費用の予算金額、債権金額又は極度金額についての先取特権、質権又は抵当権の保存又は設定の登記又は登録とみなして、この法律の規定を適用する。
2  鉱業法 (昭和二十五年法律第二百八十九号)第百十四条第二項 (予定された損害賠償額の登録)の規定により登録されている損害賠償の支払金額を増加する登録は、その増加する部分の支払金額についての予定された損害賠償額の支払の登録とみなして、この法律の規定を適用する。

根抵当権変更(極度額増額)登記の登録免許税に関しては、居住用の住宅であっても住宅減税はありません。

所有権登記名義人(住所・氏名etc)変更の登録免許税

所有権登記名義人(住所・氏名etc)変更登記の登録免許税の計算式は、下記のようになります。

不動産の個数×1,000円=登録免許税
登録免許税法 別表第一 一(14)

抵当権抹消の登録免許税

抵当権抹消登記の登録免許税の計算式は、下記のようになります。

不動産の個数×1,000円=登録免許税
登録免許税法 別表第一 一(15)

なお、20個以上の不動産につき、抵当権抹消登記を申請する場合は、20,000円までという上限があります。

担保権の順位変更の登録免許税

担保権の順位変更登記の登録免許税の計算式は、下記のようになります。

担保権の件数×1,000円=登録免許税
登録免許税法 別表第一 一(八)


「抵当権」には「根抵当権」も含みます。

基準となるのは、不動産の個数ではなく、担保権の件数です。

例えば、土地・建物2個の不動産の上に設定された1,000万円の抵当権Aと2,000万円の抵当権Bの順位変更を一件の登記申請で行う場合、課税標準は4件の抵当権になりますから、登録免許税は、4,000円になります。