所有権移転登記が完了すると、法務局から登記名義人であることの証明となるものが発行されます。

平成17年改正前の旧不動産登記法の時代には、それは法務局の登記の登記済印が押された書面、いわゆる「権利書」と呼ばれるものでした。

(物件・住所・人物名等は架空のものです)

旧 不動産登記法 第60条

登記官カ登記ヲ完了シタルトキハ登記原因ヲ証スル書面【=売買の場合は不動産売渡証書】又ハ申請書ノ副本ニ申請書受附ノ年月日、受附番号、順位番号及ヒ登記済ノ旨ヲ記載シ登記所ノ印ヲ押捺シテ之ヲ登記権利者ニ還付スルコトヲ要ス
但其登記ガ所有権ノ登記アル不動産ノ合筆若クハ合併ノ登記及ビ合体ニ因ル建物ノ表示ノ登記以外ノ不動産ノ表示ニ関スル登記、登記名義人ノ表示ノ変更若クハ更正ノ登記又ハ抹消ノ登記ナルトキハ申請書受附ノ年月日、受附番号及ビ順位番号ヲ記載スルコトヲ要セズ
其登記ガ所有権ノ登記アル不動産ノ合筆又ハ合併ノ登記ナルトキハ合併ニ因リテ所有権ノ登記ヲ為シタル旨ヲモ、其登記ガ所有権ノ登記アル建物ノ合体ニ因ル建物ノ表示ノ登記ナルトキハ合体ニ因リテ所有権ノ登記ヲ為シタル旨ヲモ記載スルコトヲ要ス
2 申請書ニ添附シタル登記済証又ハ第44条ニ掲ケタル書面ノ一通ニハ登記ノ目的及ヒ登記済ノ旨ヲ記載シ登記所ノ印ヲ押捺シテ之ヲ登記義務者ニ還付スルコトヲ要ス 但登記名義人カ多数ナル場合ニ於テ其一部カ登記義務者ナルトキハ登記義務者ノ氏名ヲモ記載スルコトヲ要ス

法改正により平成17~20年頃にかけて、順次法務局のコンピュータ化が行われ、現在は、登記識別情報というパスワードを記載した「登記識別情報通知書」が発行されるシステムに変わっています。

(物件・住所・人物名・パスワード等は架空のものです)

(物件・住所・人物名・パスワード等は架空のものです)

不動産登記法 第二十一条(登記識別情報の通知)

登記官は、その登記をすることによって申請人自らが登記名義人となる場合において、当該登記を完了したときは、法務省令で定めるところにより、速やかに、当該申請人に対し、当該登記に係る登記識別情報を通知しなければならない。
ただし、当該申請人があらかじめ登記識別情報の通知を希望しない旨の申出をした場合その他の法務省令で定める場合は、この限りでない。

「権利書」と「登記識別情報」は、書面と情報で形式は異なりますが、不動産を売却したり、抵当権設定のための登記申請を行う場合には、申請書への添付(提供)が必要で、不動産登記において同じ効果を持つものです。