相続登記には、専門的な知識が不可欠です。
不動産は財産的価値が大きく、その権利を確かなものにするためには、登記を備えることが必要です。
司法書士に依頼せず、ご自分で登記の申請を行うことも、制度上可能ではありますが、おすすめはできません。
なぜなら、相続や登記に関し、法律上、実務上の専門知識が無いまま手続きを行うことは、節約できる費用を超える重大な問題が生じるおそれがあるからです。
自分で相続登記することのメリット・デメリット
ご自分で相続登記を申請する場合にも、下記のような登録免許税や証明書類の実費(※)は必要になりますが、司法書士の手続き報酬部分を節約できる点が、何よりのメリットだと思います。
登録免許税 【固定資産税評価額の4/1000】
登記事項証明書 【窓口申請の場合 1通600円】
戸籍謄(抄)本、戸籍事項全部(個別)証明書 【1通450円】
改製原戸籍謄本 【1通750円】
除籍謄本、除籍事項全部証明書 【1通750円】
戸籍の附票 【1通200~300円】(市役所によります)
住民票 【1通200~300円】(市役所によります)
印鑑証明書 【1通200~300円】(市役所によります)
固定資産税評価証明書 【1通or1筆 200~300円】(市役所によります)
交通費
郵送料
詳しくは、以下の記事などをご覧ください。
☞ 【Q&A】相続登記の登録免許税(印紙代)の計算方法は?
☞ 【Q&A】相続登記で法務局に提出する必要書類は何ですか?(遺産分割協議の場合)
☞ 【Q&A】戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)と戸籍抄本(戸籍個人事項証明書)の違いは何ですか?
一方、ご自分で手続きされる場合は、戸籍などの証明書を収集し、登記申請書や遺産分割協議書などの書類を作成するのには労力を要し、登記申請及び完了書類の受領のほか、事前の登記相談のために何度も法務局に足を運んだり、申請書類に不備があれば補正に出向くなど、手間や時間がかかることなどが考えられます。
しかし、デメリットは、労力や手間の問題だけではありません。
いったん登記が完了すると、不都合が後で判明しても、完全に元に戻すことはできません。
「登記さえできればそれで十分」という考えは間違いで、専門的なアドバイスを受けながら進めないと、取り返しのつかない事態に陥る場合もあります。
税務的・法律的なリスク
遺産分割協議の内容についても、できるだけ、専門家から法律的な知識や経験に基づく情報・確かなアドバイスの提供を受けたうえで、相続人で話し合い、意思決定されることが、将来的にも良い結果をもたらします。
税金面などで大きな負担が発生することがありますし、経済的な不利益にとどまらず、身内の揉めごとやその後の問題の種となるおそれもあるからです。
申請手続き面でのリスク
相続登記が完了すると、「登記識別情報通知書」という、従来の権利書と同様の効果を持つパスワードを記載した書類が発行されます。
以前ご相談を頂いた例で、本人申請で無事に相続登記ができたものの、登記識別情報通知書の発行を受けなかったという方がおられました。
また、登記識別情報通知書は発行されたものの、大事な書類と思わなかったので紛失してしまったという方もおられました。
残念ながら、登記申請の際に、登記識別情報の「不発行」を選択してしまった場合、また、発行されたものを紛失してしまった場合、再度の発行を希望しても、一切発行されることはありません。
権利書にあたる重要なものが無い、という状態がずっと解消されないうえに、将来その不動産を売却する時には、余分に手間や高額な費用がかかる手続きになってしまいます。
参考記事
【Q&A】権利書・登記識別情報を紛失した場合の対処法を教えて下さい
特に司法書士に依頼した方がいいと思われるケース
法定相続人の人数が多い場合
法定相続人の人数が多い場合は、遺産分割協議書に不備があった場合など、相続人全員の実印が再度必要になって、後のフォローが大変です。
また、権利関係が複雑であったり、協力が得られにくい人がいる場合などは、最初に正しい法律知識に基づいた説明や正確な書類作成が出来ないと、スムーズに手続きが進まないことが予想されますので、本人申請は難しいかもしれません。
相続した不動産の売却を予定している場合
相続人の人数等の条件に関わらず、相続する不動産の売却を予定している場合には、司法書士に依頼した方が良いでしょう。
売買契約や、代金決済の日までに間に合うように、相続登記を完了する必要があり、遅れると売買の成立自体や、全体のスケジュールに大きな支障が出ることが考えられます。
また、誰が不動産を相続して売却するかによって、譲渡所得税や相続税などの税額に非常に大きな差が出るケースもあります。
相続から売却までの一連の手続きが経験豊富な司法書士から、必要な情報提供やアドバイスを受けながら、手続きを進めて頂く事が不可欠だと思います。
相続税申告の必要がある場合
特に、相続財産が基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)を超えていて、相続税の申告が必要な場合、相続した不動産を売却した代金で、相続税を納付しようとするのであれば、急がなければ間に合いません。
※相続税の申告と納付の期限は、被相続人が亡くなってから10ヶ月以内です。
当事務所には、下記のような特徴があり、多くの方から相続手続きをご依頼いただいております。
不動産売却のご相談にも対応できる体制を整えています。
相続税・譲渡所得税の相談ができる税理士と連携しています。
多くの相続登記・不動産売買の登記申請の実績があります。
(相続登記480件以上、売買による所有権移転登記1900件以上)
相談は無料ですので、安心してご相談ください。
詳しくは、☞ 不動産の相続登記(土地建物の名義変更)のページをご覧ください。